緊急報告書第3号(※コピー・外部流出禁止) スペラーレ日本支部 参謀本部並びに参謀長官様へ 本日未明の事件についての現時点における最終報告 本日18時に第2号をお送りしましたが、新たに判明したいくつかの情報および組織編制の変更がございますので、こちらも目をお通し下さい。 ・爆発中心部の再調査結果 再度調査したが、片桐裕也およびビエリストと思われる者の死体を確認することはできなかった。 現場においてルミノール反応を検出することはできず、両者は逃亡したか、未だに基地内に潜伏中と思われる。 (銀河統一帝国軍ビエルのビエリストは、地球における生物と全く別の成分からなる生体だと仮定すれば反応が出ないという見方もあるが、 アメリカ戦や北極海海戦などにおけるいくつかの事例から推測するに、ビエリストと地球生物に成分上の大きな違いはないと考えられる。) 現在、基地から半径100km以内に検問を設置し、警戒中。 (所沢インターチェンジにて不審人物を拘束中との不確定情報が入っています。今後正確な情報が入り次第、追って報告いたします。) ・被害報告 基地本館の地下は完全に原型を留めず、多くの貴重な資料や兵器等が失われたとの報告が入ってきている。 補充の利く物は各国スペラーレから至急取り寄せを依頼したが、各国の情勢を考慮すると、満足のいく補充は不可能だと言わざるを得ない。 (取り寄せを依頼した兵器等の内訳および必要経費については、本報告書と同梱したリストに記載しました。) ・死者、負傷者 タマラン兄さん機動警備隊20名、ビエリストとの交戦の際、全滅。 地下3階、会長室に残っていた綾部貴昭会長が爆発に巻き込まれ死亡。 事前に避難命令を出していたため、人的被害は21名という最小限に抑えることができた。 地上階にいた隊員が爆発により負傷し、一時的に区内の大学病院に運び込まれたものの、現在は全員退院。 今回の事件で命を落とした、勇敢な英霊達に敬意を表したい。 告別式は明日午後、親類縁者とスペラーレ上層部役員のみで厳かにとり行う。 (当日の細かい日程は、平成神宮様に直接問い合わせて頂くか、日本支部祭祀委員会にお問い合わせください。) ・人事異動、組織編制の変更に関する報告 研究室の崩壊、システム暴走の可能性、予算・スケジュール超過等により、亡くなられた貴昭会長のご子息、綾部貴大の組織する微粒子昆虫研究所(以下、微昆研)は解散。 新会長グラエム・メリエスのご子息、レクイエム・メリエスの立ち上げたディナーミック・ラボラトリー(以下D.L.)が今後の日本支部の研究の中心になる。 D.L.の研究対象である機動性に優れた量産兵器の製造は各国の流れに沿うものであり、微昆研中心の軍艦大砲主義的思想からの脱却を他国にアピールすることが可能になる。 微昆研の研究員はD.L.研究員と早ければ明日から合流し、新システムの開発に当たる。 また、建築部と運搬部も大幅な再編成が行われたが、ここに書き連ねると長くなるので、詳しいことはそれぞれの担当者に直接お問い合わせしていただきたい。 ・綾部貴大の処分について ロクスタ・ジェンテの管理ミス、規定を明らかに超えるパワーバランスと、それによる間接的な前会長の死亡。 現在、本人は冷静に話し合いのできる状況ではないが、事実関係が判明次第、なんらかの処置を適用する可能性がある。 また、ロクスタ・ジェンテシステムを、最初の装着者以外使用できなくする(おそらく、自分自身でシステムを占有しようとしたと思われる)など、 およそ軍事兵器の機能とは言い難いものを搭載していたことも判明している。 レクイエムはD.L.サブチーフとして彼の起用を希望しているが、それが現実になるかどうかは世間や基地内の批判の声を聞く限り微妙なところである。 ・今回の件から見るビエルの動向 アジア全域における初のビエルとの戦いが、今日のこの東京戦であった。 BL大三角を発生させるキースポットとして、現在ビエルによるモスクワ進行が進められているが、次の標的が日本となる可能性が高くなったと考えられる。 場合によっては、北京支部、ソウル支部、平壌支部との連携が必要な状況も懸念される。外交部は各支部との関係改善を推し進めてもらいたい。 ・マスコミへの対応 テレビやラジオ、雑誌からの取材に協力する隊員は、一度広報部の小笠原主任の『サルでも分かる!らくらくマスメディア出演法』のゼミに参加すること。 明日の10時、15時、22時に別館12階で開催。これに出席しない者のマスコミへの出演は認められません。 ・行事のお知らせ 5日に予定されていた新入社員歓迎ゴルフコンペは無期限延期です。ご了承ください。 ・風紀委員からのお知らせ 広報部の高橋梓の飼っている猫、EPPちゃんを引き続き捜索しています。 なにか情報がありましたら、風紀委員までお知らせください。 ※ペットを飼うのは本来禁止されております。今後ペットを飼っている者を見つけた場合、相応の罰則を受けていただくのでご注意ください。 ・風紀委員長にしつもん! 意味を見出せないので、当コーナーは打ち切りとさせていただきます。 くだらない質問が多すぎると思うのですが。 今後、何が起こるか分かりません。隊員は十分警戒し、こちらの指示をよく聞いた上で行動願います。 担当/美園千佳(風紀委員長兼、五月三日事件連絡班長)