2008.04.29 (Tue)
困った問題
”困った問題” といえば、一番大変だったのが語学のことである。
ドイツ語は大学1年の時に授業で習ったけれど、留学なんて考えていなかった私は
全く真面目に勉強しておらず、ほとんど身についていない状況だった。
今思えば、留学しないにせよ、音楽家にとって語学は必須であったはずなのに、
学生の時の不真面目さを今更ながら反省する。
「言葉なんて、本当にやる気になれば大した問題じゃないよ」と角野先生はおっしゃった
けれど、英語もろくに話せない私にとっては大問題だった。
お得意の”何とかなるさ精神”で乗り切れるものでないことは解っていたので、
早速家庭教師の先生を探した。
東大の大学院に通っていて、その年の秋からウィーン大学に留学する予定、という
とても素晴らしい先生が見つかり、週2、3回、1回3時間ほど見て頂くことができた。
留学したいなんて言って、超初歩のA,B,Cからのスタートはとても情けなかったけれど、(涙)
そんなことを言っている場合ではない。
とにかく、出発までの約1ヶ月の間に、おおよその文法だけでも
頭に押し込んでしまう計画だった。
先生とは歳も近く、また”ウィーン行き”という偶然の共通点で親近感がわき
すぐに仲良くなったので、レッスン時間を楽しく過ごせたのは幸いだった。
そして、生徒たちのことも困った問題の1つだった。
その当時見ていた生徒は15人くらいいて、
私の勝手でレッスンを中断させてしまうことに罪悪感を感じていた。
みんなよくついてきてくれ、頑張っていたかわいい生徒たちだった。
手放すのはとても寂しいことだった。
急な話に最初は驚いた様子ではあったものの、みんなよく理解してくれ
私の勝手を非難するどころか、むしろ私の決意を応援してくれた。
本当にありがたく思う。
結局4月いっぱいまでレッスンを続け、その後は近所の他の先生を紹介した。
そして、”困った”というか、”心配な”問題もあった。
飼っている猫のカプチーノのことである。
私は家族の中で、カプチーノと一番仲良しだった。
練習中やレッスン中はレッスン室の前で、入浴中は浴室の前で、
いつも私を待っていて、それ以外はほとんど私の横にくっついている、
寂しがり屋の猫である。
「先生が居なくなったら、この猫ちゃんはどうなっちゃうんですかね・・・?」
と、生徒まで心配する始末だった。
カプチーノも動物の勘で何かを感じとっているようで、ますます甘えてきた。
「ごめんね。カプチ・・・。」
最後の1週間は、しばらくお別れだということを、毎日言い聞かせたのを覚えている。
問題を1つ1つ解決し、準備を進めていくうちに、あっという間に出発の日がきてしまった。
角野先生の一言で留学を決意してから、1ヶ月半後の5月15日だった。
振り返ると怒涛のごとく過ぎ去った日々だったが、まだまだこれは序章だったのである。




