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2008.05.13 (Tue)

いざ!語学学校 

後日、意気込んで向かった先はオペラ座近くの語学学校だった。

数ある学校の中で、授業内容、授業料共に一番納得できるのがここだと聞いていた。

日本の感覚では大きな看板でも立っているのかと思ったが、

そこはいわゆるマンション(アパート?)の一室で、入り口に小さな札があるだけだった。

なんだかとても入りにくかった。

おどおどしながらドアを開けると、いろんな部屋から授業をしている声が聞こえた。

 

奥のほうに歩いていくと受付があり、女性が応対してくれた。

「あの、初めてなんですけど。ドイツ語習いたいんです・・・。」

英語で話しかけてみた。

「そう。じゃあ、まずこれやってみて!」

と渡されたのは、実力テストのような問題だった。

 

あとで考えれば、これが曲者だった。

穴埋め形式のペーパーテストだったので、簡単な文法と単語を知っていれば

半分くらいはできてしまう。

良いも悪いも、文法から理解しようとする日本人にはもってこいの問題だったのだ。

 

「あら、あなた全くの初心者じゃないのね!」

テストを提出すると、女性はそう言って私のクラスを下から2番目に決めた。

その時の私には、それがどういうことなのか理解していなかった。

ただ、授業は月初めに始まって1ヶ月単位でクラス替えがあること、

私のクラスはここではなく、別の場所で行われるということ、

授業は月曜から金曜まで、朝9時から12時の3時間だということ、

その他授業料の払い方など、説明を受けてすっかり満足してしまった。

 

 すぐに弥生に報告することにした。

「私、語学学校通うことにした。今申し込んできたよ!」

「え!?入試終わるまではいいって言ったのに・・・。もう申し込んだの?・・・ま、いいけどさ・・。」

思っていた通りの反応だった。だから事後報告だったのだ。

先日Mちゃんにもピアノに専念するように言われていたが、

1日中篭って練習するよりも絶対に効率が良いはずだと信じてた。

誰に反対されてももう決心は固まっていた。

 

 そうはいっても、授業が始まるまでに10日ほどあった。

それまでに生活必需品を揃えることにした。

最初の2晩弥生の部屋に泊めてもらった後は、自分の部屋で1人暮らしを始めていた。

”自分の部屋”とは、私がまだ日本にいる間に弥生が探してくれた部屋である。

これには、芸大の先輩で、やはりすでに留学中だったピアニストの猿田泰寛さんも協力してくれた。

ちょうど日本人女性の住んでいた部屋が空くという噂を聞き、

それならば、と私の為にとっておいてくれたのだ。

 

合格するのか分からないのに部屋を借りてしまうというのも、ある意味

プレッシャーにはなったが、この部屋にリースのヤマハピアノを置き、

心行くまで落ち着いて勉強することができたのは幸せだった。

 

大家さんの机やソファがあらかじめ設置されており、その上に

前の住民から買い取ったベッドやテーブルや食器類が揃っており、

それほど生活に困る状況ではなかった。

そこで、入試が終わったらゆっくり考えることにして、とりあえず

布団やカーテンなど、最低限必要なものだけ購入することにした。

 

私にとっては初めての一人暮らしだった。

嬉しさ半分、寂しさ半分の生活の始まりだった。

 

 

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