我の名はリオ・ヘスティミア。 この魔界に降りたのは3日程前だ。 我等には目的があるので、別魔界に降りたのだが…。 リオ「しかし…困ったな。」 文字通り、我は別魔界に行ったことなんぞ始めてな訳で。 いまいち、場所が把握できぬのだった。 しかも、別魔界転移魔法を制御できなかったのだ。 言い張る事でも無いがな。 リオ「セリスよ…何とか出来るのか?」 セリスというのは…相棒の事だ。 堅苦しい事しか言わないが…夜になるとキャラが変わる変人だな。 凄い、可愛いぞ? まぁ、状況が状況なので説明は省くが。 セリス「何とか出来たら、早急に…この場所から脱出してる。」 そうかい。 ゴミの下にいる我等を助けてくれる奴なんぞ、居るわけがない。 ってか、存在しない。 リオ「…ずっと思っていたのだが…聞いていいか?」 セリス「…何。」 リオ「此処は何処なのだ?」 此処が何処なのか把握できれば、転移魔法で何とかなるかもしれん…と我は思い、聞いてみた。 セリス「ゴミ処理場。」 リオ「…あぁ、成程…道理で辺りが生ゴミ臭い訳だ。」 セリス「…この区域は何故か魔法禁止区域と化していて、魔法が使えない。」 …は? ちょっと待て。 何でゴミ処理場が魔法禁止区域なんだ? 魔法禁止区域といえば…魔法が使えない様に、特別な理力を使った魔方陣で構成されていると聞くが。 セリス「…私は天使なので、問題無い。」 そうゆう問題じゃないだろ! 我と一緒に脱出する気あるのか、貴様!! リオ「…飛べるなら、我も連れて行け。」 セリス「駄目。翼がもげる。」 そんな簡単に翼が、もげてたまるか!! 天使ってそんな奴だったのか!? 翼が簡単にもげる話は、初めて聞いた気がするぞ。 セリス「貴方には…理術がある。」 理術を使えって言うのか!? 理術っていうのは…簡単に言ってしまえば『魔力を100倍消費する代わり、どんな場所でも発動できる術』の事だ。 リオ「あれは我が独自に研究して生み出した奇跡の法なのだ。」 セリス「…だから、何。」 …何で貴様は翼を広げているのだ!! リオ「我を見捨てる気か。」 セリス「…そんな気は無い。少し飛んで辺りを把握しようした。」 我にも翼が欲しいな。 理術を使えば早い話なのだが。 生憎、今の我に残された魔力数値は『8890』。 上級飛行魔術「フライ・コルツ」を理術で使用しようとすると魔力を100倍消費するので『9000』消費する事になる。 ギリギリ、魔力が足りないのだ。 セリス「…私の…魔力を回復するアイテムが残ってるから、使っていい。」 リオ「…すまない。」 セリスはポケットから何かを我に突き出してきた。 リオ「…コレは?」 何だかよく分からない物…と言うより初めて見る物体だ。 リオ「コレをどうゆう風に使用すればいいのだ?」 セリス「…こうやって。」 …そうか、食えばいいのか。 味が気になったのでセリスに聞いてみた。 リオ「…味はどうだ?」 セリス「…洗剤の味がする。」 ……え? セリス「…吐き気がしてきた。」 お前…ソレを何処で拾った? ってか…普通…味を知っているならば食わないだろう。 リオ「…魔力が回復したか?」 セリスは顔を青ざめながら、こちらを見ている。 セリス「大丈夫、味が危険なだけ。」 そうか、魔力は回復してくれるのか。 そう思うと我にも希望が見えてきたぞ。 …。 我は袋の封を切り、とりあえず、食ってみた。 リオ「…う。」 不味い…非常に不味い物を口にしてしまった。 飲み物が欲しくなるな…。 …魔力はどれ位回復したのだろうか…。 魔力数値測定装置で調べてきた。 ちなみに…この装置、単3電池で動くぞ。 リオ「…ふむ…35890…いけるな。」 セリス「…そう。」 …言い忘れたが、理力と理術の違いを説明しなくてはな。 理力とは、魔力と対を成す非形成物質の事だ。 魔化学の魔導顕微鏡で見えないので、非形成物質と呼ばれているらしい。 理術とは、この我…リオ様が研究に研究を重ね、作り出した奇跡の法だ。 魔術より王道性、及び効力、威力が通常より桁違いに高いので、強いて言ってしまえば強いのだが。 対価が魔力100倍消費なので、使用する気が我には全然無い。 …セリスは、使えと容赦無く言ってくるが。 さて、理術でも使うか。 大分、抵抗はあるが。 リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて我に天空に舞う翼を与えたまえッ!!」 …おぉ、翼が生えてきたぞ。 …我の身長の5倍もある翼が双方にあるのは、どうかと思うが。 さて、飛ぶか。 リオ「いざ参らん、『魔界学園Wizard☆Knight』へ。」 セリス「分かった。」 …こうして、我等は受難を越えて学園に少しずつ向うのだった。 二章へ続く。