我の親父が、宝箱になって…目の前に…。 一体、親父は何をしてたんだ。 セリア「"魔王封印体"って知ってる?」 ソレか。 勉学に励んでいた我には簡単な問題だな。 リオ「…魔王を己の身体に封印して、封印した者の力を行使できる能力の事か。」 リオ「魔王を封印するには、其れなりの容量が必須となり、容量が収まりきれぬ時には…体内から爆発すると聞いたな。」 セリア「その力を持ってたのがあの"宝箱"なの。」 …そうなのか。 レスティーア「すまない…天界の者共から我が国を…お前の故郷を護れなかった。」 リオ「ふん、気にすることは無い。」 我は今…決意したぞ。 "天界を乗っ取り、我が国を形成する!!" アス「お前…何考えてんだ。」 レスティーア「突発的に考えて、目標を決めるのは良い事だ。」 アス「良くねぇよ!!」 …兄貴は無視して…まぁ、そうだろう。 我は何時も突発的な行動で生きてるからな。 セリア「よくも…まぁ、逃亡生活を突発的な行動で生き延びたわね…凄く感心するわ。」 其処を関心するとは、どんな精神してんだ。 人間性が疑われるぞ。 セリア「魔族だから、人間じゃないわ。」 身体が人間みたいなのだから、元々は人間と同じ種族なのではないか? セリア「…まぁ、そういう理論を唱える人もいるわね。」 レスティーア「元々、魔界は人間の憎しみ等から魔族を生み出し…存在し続けているからな。」 セリア「へぇ…結構知識あるんだ。」 レスティーア「我は、理を全て知りし者だったからな…今はリオが我と同じ理の担い手だな。」 親父もか…。 そういえば…。 親父なら、あの理を知っているかもしれん。 リオ「親父、禁忌の理って知っているか?」 レスティーア「その様な物を知って、どうするんだ?」 どうする…か。 セリスを護る為だな。 アス「……禁忌の理?何だソレ?」 リオ「あぁ…我等を狙う馬鹿共に、我の力をみせつける。」 レスティーア「…悪者が言う台詞だな…。」 親父…仮にも我々は悪魔なのだぞ? 悪魔=魔族の確率が最も高いからな。 リオ「禁忌の理って言うのは、魔族が天術を使えたり、天使や神という天に属する者が魔術を使うというパターンがあるな。」 アス「あぁ、なるほど…一人で天魔術が発動できる環境を揃えるって意味か。」 そうなるな。 一人で天魔術を撃てるようになるには、相当苦労するらしいからな。 ん…? この前、兄貴の奴…天界の図書館で天術について勉強してたって言ってたな…。 リオ「おい、兄貴。」 アス「何だ。」 何だじゃない、何で天術を勉強してんだ…。 リオ「兄貴は前に"図書館で勉強してた"って言ってたよな?」 アス「あ、あぁ…。」 何故勉強してたのか聞いておくか。 リオ「何故勉強してたんだ?」 アス「俺は大気に蔓延る属性の粒子を操り、操作する能力があるからな。」 その様な能力があるから、天界で天術が扱えたのか…。 レスティーア「今現在は、粒子使いは貴重らしいぞ?」 貴重ねぇ…場所によっては強いかもしれんが…。 セリア「私とみかん、カインとか先生達全員は扱えるけどね。」 レスティーア「貴女方が言う魔王の概念は、ハードルが高すぎると我は最近になって思い始めてきたぞ…。」 親父の言うことは一理あるな。 万年卒業できない奴とか出てきそうだしな。 セリア「魔王級に強くならないと卒業できないけどね♪」 レスティーア「貴女方の強さを魔王と規定とすると…この学園は、化物の育成所か。」 そう思うよな…普通。 セリア「化物では無いわ。」 何故、断定出来るのだ…。 セリア「学園内で育成して、魔王にさせるだけよ。」 ミカ「…セリアからすれば、弱い魔王なんだよね?」 弱い…だと? セリア「最近は私と互角に戦える程度まで育て上げてるわね。」 ミカ「アンタの互角って意味は…セリアにダメージを数回与えられる程度でしょう?」 セリア「分かってるじゃない。」 分かってるの何も、セリア自体に傷をつける程度の魔王は相当強いと思うぞ…。 セリス「えと…。」 ん、何だ? セリス「そのくらいまで強くなるためと…私を護るために、この学園に来たんだよね?」 リオ「あぁ…セリスを護ってもらう為に、相当対価を払ったからな…。」 対価は…常識だろうが、お金だ。 世の中お金って便利だなぁ。 セリア「お金は重要よね…まぁ、他にも重要な物もあるだろうけど。」 愛とか勇気か? アソパソマソじゃあるまいし。 ミカ「他にも夢や希望だってあるよ?リオ。」 リオ「む…そうか。」 セリス「愛、勇気、夢、希望の力を携えしセリア先生なら何でもできそうですね〜。」 何でもって…。 戦闘能力は認めるが…。 セリア「リオー?人は見た目で判断しちゃ駄目よー?」 人だと? お前…見かけ上は獣人にしか見えんぞ。 セリア「あぁ…言ってなかったね…。」 ん? 教えてもらえるのか。 リオ「獣人なのか?」 セリア「獣人だね…世界を軽々と破壊できる魔力を持ってるケド。」 リオ「時折、貴様のいた世界が凄く気になるときがあるぞ…。」 きっと、魔王級…いや、それ以上の強さを持つ者共が沢山居たに違いない。 レスティーア「リオ…暇つぶしに此処に来たのであろう?」 …バレたか。 リオ「あぁ…親父の言う通りだ。」 我の休日は、鍛練及び脳内に知識を叩き込む位だからな。 レスティーア「我の中にある魔王を遥かに凌駕せし者を、そろそろ封印解除しようと思っておるのだ。」 …まぁ、魔王以上の強さを持っている奴でも良い奴は居そうだしな。 長年封印されれば、悪さをしないと思う奴もいるだろう。 リオ「で?封印解除する理由は何だ?」 レスティーア「…この学園の生徒が二人、我の中に封印されているのでな…。」 学園の生徒か? それとも先生か? レスティーア「両方とも先生だ。」 思考が読まれた!? いい加減にしろーーーー!! …はぁ……。 セリア「何て名前の先生?」 名前は、結構気になるな。 レスティーア「一人は…"ゆうな"だな。」 セリア「姫ッスか…、強すぎて私でも手が出せないのよね。」 誰だか知らんか、セリア以上という時点で危険だな。 セリア「もう一人は?」 レスティーア「"ルーシェ・エソワード・ル・パニティアル"。」 セリア「…アイツか。」 ルーシェ…? 聖女ルーシェか? 是非、会ってみたいものだ。 リオ「おい親父。」 レスティーア「何だ?」 リオ「とっとと封印解除しろ。」 親父を少し急かしてみる。 レスティーア「わかった…解除。」 おいおい…呪文無しかよ。 セリア「私がリオを呪文無しで魔法を撃てるようにしてあげよっか?」 それは実に嬉しいな。 詠唱系では、天界の者共にやられかねないからな。 …。 封印は解除され、二人が我の目の前にいた。 ルーシェ「ん…セリア…?」 ゆうな「ほぇ…ボクは封印されてたハズじゃ…。」 二人とも呆然としていた。 セリア「ルーシェ、ゆぅちゃん…久しぶりね。」 セリアを越えし者、二人も登場か。 ミカ「…策略派の私は、興味無いケドね。」 ミカ殿が何かボソボソ言っているが、無視しとくか。 ゆうな「ほぇ…セリアさんの隣の子は、転校生かな?」 そうです、転校生です。 セリスも、兄貴も、我も。 セリア「えぇ…神天使と理術を使いこなす魔王と、妙にアツい魔族の漢って感じね。」 何て言うか…正体バレバレだな。 アス「俺の扱いが酷いと感じるのは、気のせいだろうか。」 セリス「気のせいじゃないです。」 アス「…ちょっとは気を使って、励ましてくれよ。」 兄貴に同情する奴がいたとするならば、世も末だな。 アス「…今なら、リオの気持ちが理解できそうな気がする。」 そうかい、そうかい。 我は思考が読まれる事のみ、不愉快と感じてるだけなのだがな。 ルーシェ「とりあえず…セリアちゃん?」 セリア「ん、何。」 ルーシェ「私の剣を返してくれるかな?」 剣…だと? セリア「"グレン・ガリバー・ド・エクスカリバー"の事?」 ルーシェ「うん、別名"覇者の旅人に絶対なる祝福を与える剣"の事。」 …嫌な別名だな…。 セリア「ちょっと待っててね。………よいしょっと。」 セリアが何もない空間から剣を取り出したぞ…。 ????「お、マスターじゃねぇか。」 ルーシェ「久し振りね、グレン。」 グレン? ………あぁ、剣の事か。 グレン「フォグシエルのババァからセリアの姉御が俺様を護ってくれたんよ。」 あのクソ天使…こんな喋る剣が欲しかったのか…変な野郎だ。 リオ「狙われているならば、その剣は天界の者にとって有利になる剣なのか?」 ルーシェは首を振りながら我に言い放った。 ルーシェ「いいえ、私のような"聖女"たる存在でなければ扱うことはできないわ。」 …ならば、何故その剣を護る必要があるのだろうか。 リオ「その剣は神天使にとって扱える物なのか?」 グレン「まぁ、ぶっちゃけた話がそういうこったな。」 なるほどな。 レスティーア「…会話の途中ですまないが。」 ん、何だ? レスティーア「リオ…お前、約300年前に我が家から姿を眩ましたよな。」 リオ「…あぁ。」 グレン「300年前?"真なる天"が滅びた月日の…1ヶ月前だな。」 グレンが淡々と話しているようだ…。 …。 セリア「本物の天界?」 ミカ「聞いたこと無いわね。」 グレン「…リオとかいったか?」 何だ? リオ「どうした。」 グレン「お前…本物の天界が滅びる所を見ただろ。」 …。 バレたか。 リオ「あ…あぁ。」 グレン「俺様はァ、そこにあった剣だ。」 何だって? セリス「…"真なる天"の剣…そこにいた少女の話なら、リオくんに聞きました。」 レスティーア「"真なる天"か…、我も聞いたことがないな。」 聞いたことある訳無いだろ…今の天界は偽物だからな。 まぁ、コイツ等になら話しても罰は当たらないだろう。 リオ「少し…長い話になるが、いいか?」 第十二章に続く